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「どうしよぅ……」
大きな木の下に腰を下ろし、空を見上げた。
大きくて青い瞳の目は、少し潤んでいる。
日は暮れもう薄暗くなってきていた。
友達と鬼ごっこをしていて、知らず知らずのうちに遠くに逃げすぎたようだ。
山の中での鬼ごっこは隠れるところがいっぱいあって、楽しい。
しかし、こうなった今、山でなんて鬼ごっこをするべきじゃなかったと後悔せざるをえない。
帰り道がわからないのだ。
完全に迷ってしまった。
迷っていなかったら今ごろ、あたたかい家であたたかい夕飯でも食べている頃だろうと、膝を抱えうつむきながら思った。
まだ5、6歳の男の子である。
心細いのと寒いのとで、ガクガク震えている。
ガサガサッ!!
急に後ろで物音がした。
「ひっ……!!!」
ビクンッ!!として立ち上がり、一目散にそこから逃げ出す男の子。
「嫌だ…嫌だ嫌だ……怖いよぅ………」
涙声でつぶやきながら、走り続ける。
「っ……!!?」
木の根につまずき、ドサッと前に倒れてしまった。
「ぃ…痛い………うわぁぁぁあ~ん!!」
火がついたように泣き出す男の子。
痛いのもそうだが、不安で不安でしょうがなかったのが、一気に吹き出してしまった。
うつ伏せのまま泣き続けていると、頭の上から声が聞こえた。
「なぁに大声で泣いているんだ?」
またまたビクンッ!となり、起き上がって上を見上げた。
金色の目が二つ、木の上から自分を見つめている。
驚きすぎて、声が出せない。
目を見開き口をパクパクさせていると、木の上からその二つの目が降りてきた。
よく見てみると、ふくろうだ。
でも、ふくろうが喋るなんて…と、まだ口をパクパクさせてふくろうを見ていると、
「なんだ、喋るふくろうが珍しいのか?まぁそうだよな、しょうがないか」
と言いながら、チョンチョンっと跳んで半回転し、男の子に背中を向けた。
「ついてきなっ。俺の家に連れてってやる」
と、チョンチョンっと跳んで前進し始めた。
喋るふくろうのあとについていっていいものか一瞬悩んだが、今はふくろうしか頼れるものがいない。
立ち上がり服についた土を払って、ふくろうの後を追いかけた。
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