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チョンチョンと軽快に進んでいくふくろうを、足早に追いかけていく。
ついてきたはいいが、ふくろうの家って…?と、不安がよぎる。
ふくろうに家があるのだろうか?鳥だから巣なんじゃないか?
と、月明かりでうっすら見えるふくろうの背中を見ながら考えていると、遠くの方に明かりが見えてきた。
「明かりだ…!」
つぶやいた。
するとふくろうがくるっと振り返り、
「見えたか?あそこが俺の家だ」
とだけ言い、また前を向き軽快に進んでいく。
ちゃんと家があった…と少しホッとして、また足早についていくと、急に山が開けてきた。
ふくろうの家についたのだ。
煙突からは煙がモクモクと上がっている。
暗いからよく見えないが、丸太を積み重ねて作ったようなこじんまりした家だ。
「俺は上の隙間から入る。お前さんは少しここで待ってな」
と、ふくろうは屋根の下の隙間から家の中へスイーッと入っていった。
中で喋り声が聞こえる。何を話しているのかはわからないが、ふくろうの声と後は女性の声だろうか?
話し声が消えて、ドアが開いた。
「あなたが迷子の男の子??」
背の高い女性だ。
優しい茶色い瞳で、男の子を見下ろしている。
髪の毛は真っ黒で腰まであり、紫のローブのようなものを着ている。
「ぁ……の………」
女性を見上げ、なんと言っていいかわからずにいると、
「転んだんだって?顔も洋服も土だらけじゃないか。中にお入りよ、あたたかいよ」
女性は男の子の後ろに回り、優しく背中を押して家の中に入れた。
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