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中に入ると、ホワッとしたあたたかさで心が落ち着いた。
さっきのふくろうは…と部屋を見渡してみると、少し変な家だということに気づいた。
喋るふくろうは、家の中にある小さな木にとまり毛づくろいをしている。
ふくろうから目を離すと、次に目についたのはとても大きな黒くて丸い鍋、それと棚に並べられている見たこともないようなビン詰めの生き物と植物。
テーブルの上には丸い水晶玉。壁には大小二つのほうきが立て掛けられている。
最後に目に入ったのは、イスに座っている女の子だ。
自分と同じくらいの年だろうか?女の子は不思議そうな顔で、男の子を見つめている。
さっきの女性とそっくりだが、瞳の色は紫だ。
「ルナっていうんだよ、私の娘さ」
後ろから女性が話しかけた。
「私はサーラ。あなたは?」
「僕…ロッド」
男の子は、モジモジしながら答えた。
「ロッドか。少し休むといいよ。ココアでも飲むかい?」
ロッドはうなずき、またサーラの娘、ルナの方を見た。
ルナはなんだか気まずそうに目をそらすと、イスからひょいっと降りて、テーブルの反対側にあるイスを引き、
「ここ…座っていいよ」
と、ルナもモジモジとうつむきながら、ロッドに話しかけた。
「ぁ…ありがと」
イスに近づき座る。
ふと膝に目をやると、ズボンがやぶけて膝から血が出ているのが見えた。
不安と緊張でまったく気づいていなかったが、ケガに気づいたとたんズキズキと痛みだした。
「あぁら、ケガしてるじゃないか」
ココアの入ったマグカップを二つ持って近づいてきたサーラが、ロッドのケガに気づいた。
ココアをテーブルに置き、棚から綺麗な青い色の小さい壺を持ってきて、
「これを塗っておけばすぐ治るよ、帰りに分けて持たせてやるから明日も塗るんだよ」
と、キズに壺と同じ青い色をしたクリームのようなものを塗りながら、言った。
その様子をココアを飲みながら見ていたルナが、
「それ…母さんの手作りなの。痛くなくなるよ」
と、ロッドに言った。
たしかに、ズキズキする痛みが、スーッと引いていく気がした。
「さ、土だらけの顔もふいてっ!」
あたたかい塗れタオルのようなもので、サーラがロッドの顔をゴシゴシ拭いた。
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