紅葉山 秋実(コウヨウヤマ アキミ)

2/9
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/63ページ
 コウヨウヤマ アキミ  紅葉山 秋実。16歳。   シリツシキガミガクエン  私立四季上学園高校1年生の私は『オカルトクラブ』という部活に所属しています。  部活の中で私が一番年下で、先輩方からも可愛がってもらっています。  優等生、真面目ちゃん、委員長タイプ、と私のことを学校の皆――クラスメートだけでなく、担任の先生でさえ、私をそう評するのです。  いえ、嫌ではないんです。寧ろ感謝しているくらいで。  ただ……私の秘密を知ったら、きっと皆は私から遠ざかっていくでしょう。  今から語り部である私がする話とは、そんな絶望に等しい秘密を抱えた少女の―― まあ、つまり、私の話なんですけど……。  その日も私はいつもの時間に起きました。  午前6時30分――今日は第2学期の始まり、始業式です。  私の家は四季上学園からは少し遠いので、これくらい早く起きなければなりません。  それから寝ぼけ眼を擦りながら、洗面所で顔を洗います。  「……おはよう」  私は朝の挨拶をします。  さて、問題です。私が朝の挨拶をした相手とは誰でしょうか?  ……家族? ええ、そうですね。平たく言えば、彼女も家族です。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!