紅葉山 秋実(コウヨウヤマ アキミ)

3/9
前へ
/63ページ
次へ
 ……このままだとペットだとかいう答えが来そうなので、正解を言ってしまいます。  答えは『鏡に映っていた私』。  ああ、違うんです。別に痛い人だとか、そういうのじゃないんです。  より正確には――  「……おはよう、私。アタシは今スッゴい眠いんだ。もう少し寝てけば良いじゃんかよー!」  乱暴な言葉遣いの私が鏡の向こう側から文句を言います。  「駄目だよ。これくらいに起きないと、余裕を持って学校に行けないよ」  私も鏡の向こう側にいる私に反論します。  その後も文句を言う私を無視して、私は朝食の置かれた食堂に足を運びました。  両親はいません。というか、数年前に死んでいます。  不慮の事故だったそうですが、その時の私は小さくてよく覚えていません。当時は祖父母がいたのですが、この数年の間に他界しました。それから親戚のいない私は、天涯孤独となり、今は援助を受けて生活をしていました。  ただし、それで寂しいかと聞かれると、私は「いいえ」と答えることが出来ました。  さっき洗面所で騒いでいた私です。  紅葉山秋実本人です。  とりあえず時間が進んでいくので朝食を食べました。勿論私一人しかいないので一つしか用意されていません。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加