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容体は悪化の一途を辿る一方で、しかし、生きる望みは増していた。
彼女に会うことが出来た。
「この桜ってさ、何か分かんないけど、良いよね」
とりあえず、何か場を繋ぐことを言わなければと思っていたが……まあ、こんなもんだ。
「…………」
「は、は……」
……失敗した。話題作りに完全に失敗した。
「一つ質問。君、余命はあとどれくらい?」
心臓を鷲掴みにされたようだった。
どうしてそれを……!? まだ言ってすらいないどころか、初めて喋ったばかりなのに。
「それは私が化物だからです☆」
ピースをして、ニカッと笑う彼女。そんな姿が見たくて……俺はこのボロボロの体を引き摺ってでもここまで来たんだ。
だから、せめて……死ぬまでに自分の気持ちを君に伝えたい!
「……えっと、実は、今日、ここに来たのは……君に会うためなんだ!」
「…………」
「君のことが好きだ! ……ただ、それだけを言いたくて……」
終わった。俺の青春は早くも終わった……。告白の結果以前に、付き合えたとしても、余命が残り僅かじゃ、何にもならない。
「……何でそう決め付けるの?」
「…………へ?」
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