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……やっぱりド素人か。
こんな奴に殺された人達も浮かばれないな……。
そんな憐れみともいえる感情を含んだ溜め息を漏らしながら、私は再び路地裏に戻った。
何故私が気配を察知出来るのか、という疑問はひとまず置いといて。
果たして、撫胸の推測は間違いなかった。
自称『切り裂きジャックの孫』は、私の目の前に現れた。雨も降っていないのに、市販のレインコートを着ていて、両手にはサバイバルナイフが握られている。
表情は見えない、が、体格からして、20代前半の男性のようだ。ひょろりとモヤシのように痩せた背の高い男だ。
「……どいつもこいつも俺のことを見て悲鳴を上げるんだ。だから、こいつをチラつかせると、泣いて命乞いしてきてよぉ……」
男――自称『切り裂きジャックの孫』は、持っていたサバイバルナイフを見せ付けながら、今までの殺人を思い返しているようで、高笑いを堪えている。
「…………」
……分かってはいたけど、胸くそ悪りぃな。
思わず手元に力が入ってしまう。そろでも恐らく、私はいつものポーカーフェイスを守っているのだろう。内心は、怒りと興奮が入り雑じっている。
「さっきから何をだま……ああ、そうか」
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