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自称『切り裂きジャックの孫』が、嫌らしい笑みを浮かべながら、黙っている私の顔を見て何かに納得した。
「お前怖くて何も出来ねえんだろ? 前の野郎もそうだったもんなぁ。あんな歳にもなって、泡噴いたんだぜ」
「……自首する気は?」
「……は?」
殺人鬼の表情が曇る……というよりも、お楽しみが台無しにされて怒っているようだった。
私の泣いて命乞いする様が見れなくてそんなに残念か、変態め。
「する訳ねえだろ、バーカ」
ピンクの舌を出して挑発してきた。
「ほら……、これ見てみろよ」
そう言って、殺人鬼がレインコートの中から大量の紙をばら撒いた。全てが同じ大きさで、真っ赤な何かが描かれている――
「……ッ!!!?」
違う、これは絵なんかじゃなかった。
「……あんた、頭おかしいんじゃないの……?」
死体の写真持ち歩くなんて――確かに、殺人鬼の発想だ。
外気に晒された赤黒い内臓、血糊にまみれた筋肉と骨。食欲を大いに削がれてしまった。
「てめえもこれから仲間入りだ」
殺人鬼――自称『切り裂きジャックの孫』がレインコートから持てるだけの刃物で武装した。
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