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「ゲームの主人公になったつもりで、人を殺してレベルアップってか? 笑わせんじゃねえぞ!」
怒鳴りながら、倒れている殺人鬼に向かって近付く。
「ヒッ!」と殺人鬼は短い悲鳴を上げる。さっきまでの威勢はもうなかった。
「今からてめえに本物の殺人鬼って奴を見せてやるよ」
「そこまでよ」
あれ? これはどんな展開だ?
「まさか、あんたがそうだったとはね……」
路地裏の入口に立っていたのは、さっきの出会った男女の2人組だった。
坂和桜花と、稲葉皐月……だったっけ。でも、どうしてここに?
「撫胸さんが教えてくれたの」
坂和が答えた。
「へぇ、知り合いだったんだ」
なんだ、あいつ……そんなに私がこの殺人鬼を殺してしまわないか、心配だったんだ。
そういえば、私ってば……あいつの交流関係の広さとか、完全に舐めてたな。そりゃ、これだけ知り合い多かったら、秘密裏に行動したってバレるか。
とりあえず、私は未だに震えている殺人鬼を殴って気絶させた。
それから、向かい側に真剣な面持ちで立っている坂和と稲葉を見た。
「さて……じゃあ、何か『全て分かったぜ!』みたいに格好付けてるけど……答え合わせよ」
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