椰子島 常夏(ヤシジマ トコナツ)

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 彼らの両親は、警察に捜索届けを提出したらしい。秋実の両親は既に他界していたので、彼女だけは自分で捜さなければならないのだが。  下校のベルが鳴った。結局、今日も何もせずに一日は終わってしまった。  ……なんて、感傷的になっていると、前触れもなく、応接室のドアが開いた。  「おっ、常夏だけか」  「先生……」  カサイド ツユ  傘井戸 梅雨。『オカルトクラブ』の創設者であり、四季上学園の日本史教師であり、『オカルトクラブ』顧問。そして、現在、行方不明の野花春風の実姉、と色々と肩書きの多い人だ。  「落ち込んでるかと思ったら……結構大丈夫そうね」  大丈夫? まさか。  「そんなことないですよ、今先生がいなかったら大声で泣いてました」  と、軽口を叩いてみたり。  「そう? じゃあ、消えようか?」  『消えようか?』か……。言い方もそうだけど、こんな時だと、そういうのにも嫌気が差すのよね。  「先生こそ、弟が失踪したのに、随分落ち着いてますね」  ストレート過ぎたかと思ったが、先生は、  「まあ、立派な大人だからね」  と、嘯いた。  「でも、心配よ。……常夏」  「はい、何でしょう?」
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