0人が本棚に入れています
本棚に追加
彼らの両親は、警察に捜索届けを提出したらしい。秋実の両親は既に他界していたので、彼女だけは自分で捜さなければならないのだが。
下校のベルが鳴った。結局、今日も何もせずに一日は終わってしまった。
……なんて、感傷的になっていると、前触れもなく、応接室のドアが開いた。
「おっ、常夏だけか」
「先生……」
カサイド ツユ
傘井戸 梅雨。『オカルトクラブ』の創設者であり、四季上学園の日本史教師であり、『オカルトクラブ』顧問。そして、現在、行方不明の野花春風の実姉、と色々と肩書きの多い人だ。
「落ち込んでるかと思ったら……結構大丈夫そうね」
大丈夫? まさか。
「そんなことないですよ、今先生がいなかったら大声で泣いてました」
と、軽口を叩いてみたり。
「そう? じゃあ、消えようか?」
『消えようか?』か……。言い方もそうだけど、こんな時だと、そういうのにも嫌気が差すのよね。
「先生こそ、弟が失踪したのに、随分落ち着いてますね」
ストレート過ぎたかと思ったが、先生は、
「まあ、立派な大人だからね」
と、嘯いた。
「でも、心配よ。……常夏」
「はい、何でしょう?」
最初のコメントを投稿しよう!