椰子島 常夏(ヤシジマ トコナツ)

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 「何かあったら、私はいつでもどこでも相談に乗るわよ」  「相談に乗る……か」  つまりは、悩み事があれば、いつでも言いに来いってことなんだけど……。  例えば、私の秘密とか?  「無理無理無理無理無理無理無理無理!」  頭を掻きながら、大声で『無理』を連呼する女子高生……警察が見過ごすはずねぇ……。  相談なんて簡単に出来れば苦労無いって話だ。  「おっと……」  考え事しながら歩いていたら、人にぶつかってしまった。  「すっ、すいません……!」  ぶつかった人の顔を見て、数秒の時間の静止を感じた。  顔から血の気が引いていくのがこんなにもはっきり分かるなんて。  ぶつかったのは、私と同い年ぐらいの少女だった。しかし、ただの女子高生じゃない。明らかに外見がヤンキーだ。  黒髪のショートカット、両耳にはピアス、端正な顔立ちだけど、目付きが悪い。顔がやけに赤らんでいる。  もう一人は、背の高い高校生くらいの少年だった。こっちもかなりの美形だ。  怖い少女の隣にいる同い年ぐらいの少年は柔和な笑みを浮かべて――いや、もしかして、笑いを堪えてる?  「ぷっ、くくく……」
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