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そして、撫胸から聞かされた『切り裂きジャック』の情報は、以下の通りだった。
殺されたのは、5人。これは本物の切り裂きジャックと同じ。ただし、被害者は女性だけでなく、男性もいた。
全員身体をバラバラに解体されている。傷から見て、死因は間違いなく刺殺とされ、凶器は未だ発見されていない。
『と、まぁ、これくらいなら、ネットを漁れば、すぐに見つけられる程度なんだけどね、無能以外は』
「撫胸……」
『ああ、ごめん……』
撫胸はたまに人を見下す癖がある。今では自粛しているらしいが、それでもやっぱり癖が抜けないらしい。
いつも私が注意すると、撫胸は苦笑しながら舌を出して誤魔化す。
『だけど、警察のデータベースにハッキングして、死体の写真を見たけど、あれは素人ね。作業も後始末も全部雑。プロの殺し屋や酔狂な死体マニアの仕業とは思えない……。ましてや、切り裂きジャックの子孫なんてね』
「…………」
……最後の一言は、私に対する皮肉だろうか。
『素人が勝手に殺人鬼に憧れを抱いて、自分も完全に切り裂きジャックになろうとした――こんなとこでしょうね』
「被害者は……運が悪かったってことか……」
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