62人が本棚に入れています
本棚に追加
/80ページ
「んなことより、何食べるか決めたか?」
「いや、メニューが無いのにどう選べというのですか」
「ああ、そうか。
この店はメニューが無いんだよ。食べたい物を言えば、可能な範囲で作ってくれるんだ」
「へぇ、変わった店ですね。
そのようなシステムですと、色々困る気がするんですが……」
「それは知らん。あの人に聞いてくれ」
実際は一般人が来ることは無く、訳ありの人しか来店しないのだ。
何故ならお店の周囲に陰陽道の結界が張ってあり、藍瑠のような陰陽師しか見つけられないようになっているのだ。
ちなみに彼は出会った当初、彩乃のことを不審に思っていたが、今はある程度信用している。
彼女が藍瑠の考えていたように妖の類いならば、いくらでも襲う隙はあった。
しかし襲いかかって来ることはおろか、霊力の片鱗すら見せていない。
更にこの店に対する反応が、一般人そのもの。
これらことから、彩乃自体は無害と判断したのだろう。
それに藍瑠の懸念は他にもある。
ーー謎のメールと霊力爆発の件だ。
これに関しては情報が全く無いため、現時点では対処の仕様がない。
最初のコメントを投稿しよう!