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玲奈の作った料理に2人は舌鼓を打ち、お腹を膨らませた。
「どうだった?
自分で言うのもなんだが、まずくはないと思うんだ」
「とてもおいしかったです。
オムライスの卵はトロトロでしたし、トンカツもミルフィーユ状であっさりしてて、全部食べれちゃいました」
「そうかい。
それは良かった」
玲奈はパアっと花が咲いたような笑顔になる。
自信満々のようなことを口走っていたが、内心はハラハラしていたのだろう。
「紫之宮は……聞くまでもないか」
彼の前の皿も真っ白になっていた。
かなりのお気に入りのようだ。
「もし良かったら、また来てくれないか?」
「……は、はい」
彩乃は口ごもりながらも、何とか答える。
今日メリーズドールの呪いにより死んでしまうと理解している以上、安易に約束は出来ないからだ。
しかも彩乃は玲奈の正体を知らないため、尚更である。
逆に玲奈は彼女が立たされている状況を理解しているが、こんな発言をした。
きっと自らの弟子を信用しているのだろう。
「……玲奈さん、そろそろ時間なんで行きますね」
時計の針は6時10分を指していた。
メリーズドールから電話がかかってくるまで約50分といったところだ。
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