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藍瑠と彩乃は店主に見送られ、店を後にした。
ちなみに料金はきっちりと支払った。
「なかなかいいお店でしたよ、紫之宮君。
正直、青天の霹靂です」
「それは褒め言葉でいいのか?」
「最後の晩餐としては上々でした」
「……これから更級公園に行くぞ」
脈絡もなく告げた。
すると彩乃は困惑したように、言葉を紡ぐ。
「ですけど、そろそろ時間が。
メリーさんが来るですよ」
「だからだよ。
お前をメリーズドールの呪いから解放してやる」
「紫之宮君……
腐った瞳で言われても気持ち悪いだけです」
藍瑠は格好よく決めたつもりだったが、彩乃は1歩後ずさってしまった。
これはまた過去の黒歴史が蘇ってきてしまう。
彼は気持ちを風のように吹き飛ばす。
「と、とにかくだ。更級公園に行くぞ」
「……これ以上は迷惑かけられないですよ。
人形ももらったですし、食事も奢ってもらってーー」
「はぁ……
お前、結構バカだったんだな」
藍瑠は額に手を当て、嘆息。
彩乃は過敏に反応し、表情が強ばった。
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