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「…帰ろう。」
直人くんがそう言ったのはどれくらい時間がたってからだったろう。
私は少し慌てた。
果歩のことがあったからだ。
果歩は何時でも迎えに来てくれると言っていたけれど、あまり遅くなるわけにもいかない。
この時間が…
…たまらなく惜しいけど。
今日は果歩の家でお酒と花に囲まれて、夜には二人でお祝いをしなければならない。
私の帰る場所は『果歩の家』だ。
「…うん。」
私たちは駅に向かった。
『…もう少しゆっくり歩いて。』
そんな言葉はもう必要なかった。
彼はしっかりと私のそばに寄っていた。
酔った彼のカラダは熱を放っていた。
触れていないのに彼の熱が私まで伝わって
私から手を伸ばしそうになっていた。
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