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駅構内の上りエスカレーター。
直人くんが私を先に乗せたので、私が二段ほど上で彼をほんの少しだけ見下ろせる。
けれど身長差で直人くんとの顔の位置は近付いた。
私は彼に聞いた。
「ねえ、後ろのリボンほどけてない?」
「ほどけてないよ。」
直人くんは私の首元を間近で見て言った。
私の後姿はどう見えているのだろう。
「ちょっとゆるくなってんのかな。」
直人くんはリボンに触れた。
「結び直そうか?」
「…リボン結びできるの?」
「バカにすんなよ。靴ひもと一緒だろ?」
「…まあ、そうだけど。ここでほどけたままになるのは嫌だよ。」
「…そんなの俺も嫌だ。」
エスカレーターは上まで登り切った。
エスカレーターから降りるとき
、彼は私の腰を引き寄せて支えた。
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