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結局、ギリギリで乗れた最終電車。
車内は混雑していて、人と人との隙間が広くはない。
私たちは奥へ進んだ。
揺れる電車。
直人くんは私とギリギリ触れるかそうでないかの距離にいて、
電車がカーブに掛かると私の右肩を含めた背中が彼の胸に収まった。
「次、降りるよ。」
混雑した電車内で、
直人くんは私の手を握った。
人の波を乱さないように、私たちも押し出されるように駅から出た。
駅を出て散り散りになっていく人の中で、
私は直人くんに連れられてタクシー乗り場に向かっていた。
タクシーが50メートルほど先で並んでいた。
目測できるほどの短い距離でも足の痛みのせいで時間がかかる。
駅構内を早いペースで無理して歩いたせいで、さらに悪化してるような気がした。
長くて短いその間。
再び、直人くんの携帯が震えた。
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