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場面:廃病院屋上/夕方
今日もまた、一日が終わってゆこうとしている。僕――鵺沢永人(ヌエザワナガヒト)は屋上に出て、沈んでゆく夕日を眺めていた。
『何を見ているのだ、永人?』
低い男の声が近くでする。永人が声のした方を見ると、黒い柴犬が一匹座ってこちらを見ている。
「こんばんは、桜田さん。夕日を見ているんだよ」
『ん?包帯は外していて良いのか』
永人に桜田と呼ばれた黒柴が近寄ってきて、永人を見上げる。その顔の左側にはなんと、人の男性の顔が浮かび上がっていた。
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