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ふと気が付くと、私は自分の部屋にいた。
どうやって戻ってきたかはよく覚えてないけど、そこから離れる瞬間は覚えてる。彼と目が合ってしまったから……。
泣き叫び続けた彼の喉は潰れ、最後の方はただただ涙を流し続けていた、そして彼はふいにこっちを見た。
彼の目は少したれ目で、一重なのに大きくて、きっと優しそうに笑う人なんだろうな……、その目からはとめどなく涙がこぼれ落ち、覗く瞳は悲しみに満ちた真っ黒な目だった…。
一瞬で金縛りにあったような感覚に陥った、彼に惹きつけられてぴくりともしない。
彼は私から目を反らそうとはしなかったし、私も彼から目が離せなかった……。
その瞬間………
ゴーンゴーンゴーンッ…!!
丘の裏側の神社の鐘が鳴り、私は我に返った。
千「っ!?………ぁっ……っ」
私は急に我に返ってしまい、どうしかたらいいのか分からなくて、その場から走って逃げてしまった。
彼一人を残して…………。
彼は今もまだ、あの場所で泣いてるのかな?
傘もささずに風邪引いてないかな…?
あの様子だとご飯とか食べてなさそう、
お腹空いてないかな………?
今日はあんまり……眠れそうにないな………。
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