雨

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あの人に初めて出逢って、あの人の涙を見て、あの人が頭から離れなくなった、学校であの人の悲しみを知って、私も悲しくなって涙が出た、あの人はとても大切な人を亡くして、光を失ったような目をしていて、救いたいと思った、あの人を…………好きだと気づいた。 年齢も性格も、名前すら分からないあの人。 あの人のこと、もっと知りたい。 実「千晃!帰ろー?」 千「うん!」 実「今日はどうする?どっか寄って勉強してから帰る?」 千「あ、今日はいいや、明日お願い!」 実「ん、りょーかいっ♪んじゃ帰りますかw」 下駄箱で靴を履き替えて歩き出す私と実彩子。 学校を出てしばらくすると、昨日の事故現場の前を通る。 実「見て千晃、あんなにいっぱいあった血がきれいさっぱり無くなってる。それに大量の花束…。」 実彩子のゆうように、そこには大量の花束や今日発売の雑誌などが置かれていた。 実「きっとすごくみんなに愛されてたんだねーこんなにいっぱい。」 きっと本当のことだろうけど、その中にあの人が含まれてると思うとなかなか心に刺さる言葉だった。 千「なんでそんな子が死んじゃうのよ…。」 実「ん?千晃なんて?」 千「んや、今日お葬式だよね、…みんなその子とのお別れ悲しいだろうなって。」 実「そうだ、今日がお葬式になるんだね、私たちもなんかしてあげたいねー。」 千「明日学校帰りに近くのスーパー寄って花束買おうよ!」 実「いいね!それ賛成!んじゃね!また明日ーw」 千「ばーいばーい!w」 あの人の為に、彼女さんが喜ぶような何かをしたい………… あの人のために………………。 私は少し罪悪感を感じ、早足で家まで向かった。
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