第0話 私の履歴書。僕は野球と仲間に出会った

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そんな中で、一人の野球ファンの子どもが誕生日を迎えた。 ……ファンといってもわざわざ球場に足を運ぶ程度ではないが、ビール片手に枝豆を摘まみ、テレビで中継されている試合を見るライトな部類。 野球中継が放送されていたら、率先してそれを観戦するくらいの野球好き。 ……年間60試合近くを観戦するのはここだけの話(メジャーリーグ、高校野球地区・全国大会、大学野球、社会人野球等は除く) そんな父親から男の子にプレゼントが渡された。 男の子なら誰しもが通る道、一度は戦隊物のヒーローにあこがれる。 流行りのなんとかレンジャーの変形ロボットをもらったか? 男の子を魅了させるには十分のポテンシャルを秘めたもの、スポーツカー。 カッコいい車のミニカーをもらったか? それとも、老若男女問わず、世代間のボーダーレスを実現するまでに至った電子遊戯機器……早い話ゲーム機。 ゲームボーイアドバンスのソフトをもらったか? 4歳の誕生日プレゼント。 ……案の定グローブとバット、野球ボールの野球道具一式だったという。 子よりも父親の独断で決められたといってもいいプレゼント。 基本的に国民の意見が通らない政治の世界のように、男の子のプレゼント請願書は棄却されたそうだ。 男の子は最初こそ「なんとかレンジャーのロボットが欲しかったなぁ…」と口を尖らせ、不満不平を口にしたものの。 ……意外と好評だったそうだ。 母親を公園に連れてキャッチボールをしたり、家の庭で素振りをしたり、果てには家の中で野球ボール(軟式)を投げたりと、野球に熱中し、心を奪われていったという。
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