86人が本棚に入れています
本棚に追加
/442ページ
そんな中で、一人の野球ファンの子どもが誕生日を迎えた。
……ファンといってもわざわざ球場に足を運ぶ程度ではないが、ビール片手に枝豆を摘まみ、テレビで中継されている試合を見るライトな部類。
野球中継が放送されていたら、率先してそれを観戦するくらいの野球好き。
……年間60試合近くを観戦するのはここだけの話(メジャーリーグ、高校野球地区・全国大会、大学野球、社会人野球等は除く)
そんな父親から男の子にプレゼントが渡された。
男の子なら誰しもが通る道、一度は戦隊物のヒーローにあこがれる。
流行りのなんとかレンジャーの変形ロボットをもらったか?
男の子を魅了させるには十分のポテンシャルを秘めたもの、スポーツカー。
カッコいい車のミニカーをもらったか?
それとも、老若男女問わず、世代間のボーダーレスを実現するまでに至った電子遊戯機器……早い話ゲーム機。
ゲームボーイアドバンスのソフトをもらったか?
4歳の誕生日プレゼント。
……案の定グローブとバット、野球ボールの野球道具一式だったという。
子よりも父親の独断で決められたといってもいいプレゼント。
基本的に国民の意見が通らない政治の世界のように、男の子のプレゼント請願書は棄却されたそうだ。
男の子は最初こそ「なんとかレンジャーのロボットが欲しかったなぁ…」と口を尖らせ、不満不平を口にしたものの。
……意外と好評だったそうだ。
母親を公園に連れてキャッチボールをしたり、家の庭で素振りをしたり、果てには家の中で野球ボール(軟式)を投げたりと、野球に熱中し、心を奪われていったという。
最初のコメントを投稿しよう!