17人が本棚に入れています
本棚に追加
/210ページ
菜緒side
「菜緒ちゃんこれどこ置く?」
川本先生は先生に頼まれたって車を出してくれた上、後片付けまで手伝ってくれた。
「すみません、結局一日がかりで手伝ってもらっちゃって…」
昨日の今日だけに、なんとなく気まずさを感じながらな私にも川本先生は全然いつも通り。
「こーゆーのはやっぱ男手がないと大変でしょ」
「助かりました、本当に」
「お礼に飯食わしてくれんでしょ?」
「…あ、あまり期待しないでくださいね///」
「なんで?期待しちゃだめ?」
「…ダメです。私、料理そんな得意じゃないんで///」
「恋愛以外に苦手なもんがあったか」
「…恋愛は、もっと苦手ですけどね」
昨日のことを笑って冗談にしてくれる優しい川本先生に冷えたビールを手渡した。
「お。サンキュ」
いい音をさせて缶を開けた先生が、あれ?俺だけ?って顔。
「まだやることたくさんあるので」
「いいじゃん飲もうよ。引っ越し祝い、乾杯しよーぜ」
開けたビールを私に手渡して冷蔵庫を開けた先生。
「…うわ、酒と水しかねーじゃん。毎日何食ってんだか…」
「…ね」
「でもこれから毎日菜緒ちゃんの手料理だろ?ちくしょー…いいなマジで」
「いいかどうかは…」
「君が作ったもんならなんでもいいって言うって」
「もー…変なプレッシャーかけないで///」
「ふふ。なんか…、普通に幸せそうじゃん」
「…え、?」
「余計な心配だったかな」
嬉しそうに私を見た先生が、ビールに口をつけた。
「…あ、ごめん。乾杯すんだった」
その時鳴ったインターホンに結局、私と川本先生の乾杯は空振り。「先生かな…鍵かけてないのにな」
「あれでしょ、おかえりなさいとか言って欲しんだって絶対」
「…えー……///」
「男はアホだからね」
そう言って、川本先生は缶ビール片手に玄関に向かって行った。
「…てめぇ・・・なんでまだいんだよ」
「おかえりセンセ」
「おかえりじゃねーよ、つーかおめぇじゃねんだよ///!!」
「ただいまのちゅーとかしてもらおうと思ってたろ(笑)馬鹿だねぇ夢見ちゃって」
「死ねよ…」
最初のコメントを投稿しよう!