第2話 『キスフレ○鬼上司』

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彼の突然の行動に驚き、心臓が高鳴る。 背中越しに感じる早鐘を上げる心臓の音よりも、 私の心臓の音のほうが、ずっと早い気がした。 このままでは、成宮氏に聞こえてしまいそうで、 彼の手をすり抜け、その場にしゃがみ込んだ。 ど!どうしよう! とにかく断らなくては!! 小栗に顔向けが!! 顔向けが出来ない!! 「...駄目です!!!成宮さん!!私には彼氏が!!」 と振り返ると、大分遠くのほうに居る成宮さんが、 私の声に気づき、振り返った。 朗らかに微笑み、手を小さく上げる。 「では佐藤さん。また。」 小さく手を振り、マンションのゲートへと進んでいく成宮さんを呆然と見つめた。 「......え?...もしかして.... からかわれ...たの?」 誰も居なくなったマンションのロータリーにポツリ残された私を、 冷たい木枯らしが撫でていった。 .
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