Ⅰ.8月28日

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ザーザーザー 雲が絶え間なく続いている。 この人口10万人が存在する地域、氷沼市ではこの季節の雨は珍しくない。 四季に梅雨を入れると、春、梅雨、夏、梅雨、秋、冬、梅雨のようになる。 冬開けての極寒の中の雨は氷沼にとって毎回大きな打撃となる。 雪が水で溶け泥と混ざりあい、それが道路一面に広がっている。 これを車のタイヤで弾かれ掛けられたときほど不快な時はない。 雨と晴れの日はほぼ同じ日数あるといえる。 不思議な市だ。 まだ午後二時だと言うのに、もう外は夕方ほどに暗くなっている。 太陽が雨雲に隠れてしまっているので仕方はない。 この市にいくつかある高校の一つ、氷沼普通科高等学校の一室の窓から黒板ではなく外を眺めている青年が一人いた。
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