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部屋の隅に置かれた頼りない灯りが
彼女をぼんやりと浮かび上がらせる。
部屋に響くのは、衣擦れと
ベッドの軋む音、二人の吐息だけ。
肌の隙間を埋めるように
彼女をきつく抱き締める。
時折、堪え切れず漏れる声を
飲み込むように
貪るように唇を合わせる。
快楽から逃げようとする彼女の腰を
強く引き寄せ激しく揺さぶる。
浅い呼吸を繰り返しながら、
左手で僕の肩を精一杯
押しのけようとする。
溺れることへの恐怖か、
渇きを潤すための前置きか。
彼女の左手を掴むと、
ゆっくりと薬指を舌で舐めあげ、
口に含んだ。
僕は、
彼女の
薬指の根元を
きつく
噛んだ。
彼女の目尻から
こめかみへ
涙が
零れ落ちるのが
見えた。
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