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彼女の薬指の傷痕は
どれくらいで消えるだろう?
傷が消えても、左手の薬指を見るたびに
僕の事を思い出してくれるだろうか?
そのたびに彼女の胸が少しでも
痛めばいいと思う。
僕はズルいから、こんな形でしか
気持ちを表すことしか出来ないけど、
どうか忘れないでほしい。
歪な僕を受け入れて
心の片隅に住まわせてほしい。
それが真っ黒な感情だったとしても。
幼い頃、言えなかった別れの言葉。
胸の内でゆっくりと繰り返す。
ーーーサヨナラ
目を閉じると
瞼の裏は赤い血
凪いだ彼女の心に
一滴の血の雫
小さな波紋を作り
静寂に立ち戻る
誰にでも平等に訪れるであろう朝を
僕は痛みに耐えて待つ。
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