それは恋に似て

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ひんやりとした風が火照った頬を冷やす。 住宅街に入ると人通りはほとんどなく さっきまでの喧騒は嘘のようだ。 ふわふわとした体は左右に揺れ また躓きそうになる。 そのたびに苦笑いしながら体に触れるか 触れない程度に支えられる。 「面倒だなぁ。」 左手に違和感を覚えた。 緩く繋がれた手の感触は冷たく、 乾いていた。 「子供?」 「子供ではないけど、酔っ払いではある。」 繋がれた手に少し力が入った。 「何か、変。」 「ん?」 「手が、逆?」 彼は下を向いて肩を揺らし笑いを堪えていた。
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