第1話

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それから、俺達は、度々二人で会うようになった。 別にただ会っているだけなのに、なんだか内緒の密会をしているようでドキドキした。 悟史くんは、人気のない場所で、たまに俺に指を絡ませて来た。 それだけで、俺の気持ちは、どうしようもなくときめいて、このまま何処かへ行ってしまいたい、とさえ思った。 「ねぇ、湘くん」 そんな時、悟史くんは、甘えるような声で、よく話しかけて来た。 「ん?」 わざと平静を装うのは、苦手なほうだったから、きっと、悟史くんは、お見通しだったんだろう。 「どっか、旅行にでも行きたいねえ。湘くん、好きでしょ?」 「え、あ、ああ。そうだね」 色んなことを意味するその誘いに、俺は、ドギマギと答える。 どうしてだか、いつも俺には、余裕がなくて、自分で情けなくなった。
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