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「さみーな」
油断して、浴衣にダウンを羽織っただけの俺達は、あっという間に、身体が冷えてきた。
自然と悟史くんの肩を抱き寄せ、二人で寄り添うように温泉街を歩いた。
「湘くん、ありがと」
悟史くんは、不意に小さな声で言った。
「え、何が」
「一緒に来てくれて、嬉しかった。こんな風に旅行できるなんて思わなかった」
「うん」
なんて答えたらいいのかわからず、とりあえず頷く。
もっと何か気の利いたことを言いたいのに。
頭は、もう真っ白だった。
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