影浦 彩可

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俺は席につくと朝に読んでいた本をバックから取り出した。 朝は馬鹿に邪魔されたからな。みんなが来るまで読むことにするか……。 「ふーん、そんな堅苦しい本読むのね」 ……この人のこと忘れてた。 俺は本を読むのを中断し後ろを向いた。 「その能力もっとマシなことに使えないんですか?」 俺は本を読むのを諦め、呆れながらバックに出したばかりの本をしまう。 「私の役に立つことに使えばそれでいいのよ。人間なんてみんな自分中心のいわばエゴの塊の人間が多いのよ? 自分の欲求を満たせればどうでもいいのよ」 彼女は淡々と語った。 少々俺の問いかけに対しての答えにはなっていない気がするが、あえて言わない。 気にしたら負けだ。
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