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幸いにもその時トイレには誰もいなかった。
「ふぅ……」
良かったぁ。知り合いの先輩とかいなくて……。
そして、俺は手を洗ってトイレを出た。その時にもトイレ付近には誰もいなかった。
いや、正確には誰もいないと『思った』と言うべきか。
今日マジでついてるかも。そう思った時だった。
「ねぇ、あなた二年生?」
……。え?なんか呼ばれたかな?
俺は後ろを向いた。だが、後ろには白い壁があるだけ。
「前向きなさい。前」
俺は何者かに顔を触れられ、さっきまで見ていた場所に目線を戻された。
「……」
「ねぇ、あなたに頼みたいことがあるんだけど」
そこには、綺麗なロングの金髪を伸ばし、人形ような大きい瞳と天使のような声で俺に話かける、現生徒会長影浦彩可がいた。
やっぱり、今日はついてないな。うん。
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