須藤 翔

4/8
前へ
/31ページ
次へ
須藤は髪を整え終えると、俺の目の前に顔を近づけてきた。 「ところで、トモ……。今日ってなんか大事なことなかったっけ?」 須藤の大きな瞳が俺を見てくる。この瞳で見つめられて落ちない女性はいないだろう。須藤はこの学校でも三本の指に入るくらいの超イケメンだ。 「お前の誕生日ってことくらいしか分からんが」 俺は須藤の顔を手で押し返し、自宅から持ってきた本を読み始める。すると、須藤は片手を俺の目の前に出してきた。 「……この手は?」 「いや、誕プレください」 「やらんわ」 俺は無視して本を読み続ける。 「ケチだなあ」 須藤はそう言うと立ち上がり窓を開けた。 「じゃあ、愛しのマリちゃんからもらってこようっと」 そう言うと、須藤は窓から身をのりだし、そのまま浮遊し四階へ行った。 ……あの能力をもっと世の中の役にたつことに使えないのだろうか? 俺はため息をつき、本を読むのを再開した。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加