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『……』
私の体は一瞬にして硬直した。ピトリとする指が私の下唇をなぞる。唇についたグロスを拭っていたのだと気付いたのは治療を終えてからだった。
『どこが痛むのですか?』
センセイの指か下唇をなぞり終えると今度は上唇に移動した。そうしてその鋭い目で私を睨み付ける。
大人の男に触れられたことなかった私は酷く恐怖に感じた。
まだ高校生だった私にとって回りにいる大人の男は父親と教師ぐらいで、それが男かと言えば違う。
性としての男を意識したのはこの時が初めてだったと思う。
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