やきもちと忠告

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数日後――。 私たちは、新しい部署へと移った。 改装されたフロア。 新しいラボスペース。 なるべくディスカッションのし易い空間で、透明性のある関係性を気付くこと―― これこそ仕事の効率を上げ、良い研究に繋がるという考えのもと、オープンスペースとなった。 元々距離的にも近い場所にあったA社とB社だが、同じ部署は出来る限り集められる事となった。 私たちのような新規のプロジェクト参加者は、特に今までの仕事との区別をしっかり線引きする事が出来るため、勿論片方の会社に集められた。 B社よりもやや大きい規模であったA社は、勿論会社自体のスペースも広く融通が効いたため、A社が使用していたラボを改装して私たちメンバーは入る事となっていた。 A社は5,6階が全てラボスペースとなっていた。 そこを三グループ、三つのラボで使用する。とても贅沢だ。 環グループは、5階の半分のフロアを使わせてもらう。 オープンラボなので、今までとは違い、ラボとデスクがある部屋は別れてはいない。 広い部屋には実験ベンチ(実験専用の長い机)が真ん中に広がり、それを囲むようにしてデスクが並ぶ。 オープンとは言っても、機器が置いてある部屋は個室空間になっており、ラボ同士も廊下で挟まれ区切りは存在する。 そして5階の残り半分のスペースを、長谷部グループが使う事になった。 今まで上司だった長谷部さんと同僚の碓氷も、かなり近くで仕事が出来る環境で私は嬉しかった。 そしてもっと近くで仕事が出来るのは、凛さんと、九十九ちゃんだ。 一之瀬さんと雪村さんは、もう少しだけ離れた6階のワンフロアを使うこととなる。 6階の一部には、3グループが共通で使用する大型機器なども収容されているので、私たちは度々5階から6階にお邪魔する事になる。 つまるところ、かなり身近な所で、仲のいい6人が働いているという事だ。 ばったり会う事もしばしば起こるだろう。
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