とある理科系共の怪話

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ここはとある病院―― 「私の家に来るなんて珍しいわね、りーくん?」 白金髪深青の女性の視線の先に、 黒髪黒目の眼鏡で白衣の男がいた。 「ああ、ちょっと頼みたいことがあるニョロ」 「ふぅん。何?珍しいから聞いてあげないこともないけど」 「そうか」 理識はおもむろに眼鏡を外し、 「実験台になってく れ な い か」 その問いに科織は即座に答える。 「だが断る」 「(´・ω・`)ショボーン」 「私はね、男の子を犯す趣味はあっても、男に犯される趣味はないわ(キリッ」 「ならば仕方ない。力づくで連れて行くまで」 チャキ、と二丁の銃を構える。 「あらやだ。野蛮だわ」 すっと何処からかカードを取り出した。 そして唱える―― 「スペルカード、夢想封印っ!」 五色の光が理識へ向かう。 しかし、 「ほう、これは面白い」 理識は科織の目の前にいた。 「私の頭の中では科学も魔術も一緒。人類万能(自称)を舐めないでよね?」 次に額に紙切れを貼り付けて印を切る。 「急急如律令!」 紙切れが爆散して、理識が仰け反る。 「成程」 態勢を立て直したその顔は知的興味に満ちていた。 「一体、この身体の中にどのような知識が詰まっているのだろうな?益々識りたくなった」 言葉が終わると同時に姿がかき消える。 「耐久力が馬鹿みたいねぇ……私は基本的に戦闘派じゃあないんだけどねっ」 懐から中に液体が詰まったガラス管――狂楽科学――を取り出して自分の周囲の床に投げる。耳をつんざくガラスの悲鳴。 「何が出るかはお楽しみ」 撒き散らされた液体はたちまち蒸発した。 「塩素系ガスか……」 背中に体温の感触。 「つっかまーえた♪」 ぎゅうと締められる 「……あまり可愛い調子で言われても萌えないわね……」 「そうか。さて、実験台を捕獲したのだからここででも蜜時を過ごそうか」 「とても、面白くないお誘いありがとう。でも、結構よっ」 脚を振りかぶって、後ろへ蹴り上げる―― 「アッーー!!!?」
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