燕菊

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「さあて、菊ちゃん。 今から年相応以上のことするかも知れないけど、許してね?」 「誰が許すかそんなもの」 不機嫌をこれでもかと表現させた顔で睨む。 「いやホント私と同じような体型の人ってあまりいなくてね……ね?触診でもいいから」 そう言いながらわきわきと手を蠢かす。はっきり言って気持ち悪い。変態だ。誰かと同じく。 (……はやく来ないかな……燕織……) 何故か危機に現れる気がして。私の黒いツバメ。幸せを運ぶツバメ。 「金色の美しい瞳ね……カラコンでもないからどうなっているのかしら?これは……流石に抜くしか無いわね……」 聞き捨てならない言葉を聞いて我に返る。 「抜くって……何を……?」 「眼球」 体が凍りついた。 「でも、抜いたとしても流石の私でも後遺症は免れないかもだし……」 うんうん悩んで決心した目で見つめてきた。 「取り敢えず、脱いでくれない?」 その直後、ミシッと音が。 「だあらっしゃああああああああ!」 黒い旋風が吹いた。 そして見事に科織の頭に綺麗なドロップキックがヒットした。 科織はドガッシャァァァと派手に音を立てて壁に激突した。 「つ……燕織……」 「菊には指一本触れさせんで!」 格好良く着地を決めて決め台詞を言っていた。なんだか頼もしくて、カッコいい。 「だって菊はうちのもんやもん!菊に近づく輩はすべからく滅するし、安心して菊!」 そして爽やかにえげつないことを言ってきた。 「つ、燕織……なんで此処が?」 「菊の声が聞こえた気がしたんよ。それで閖に問い詰めたら、科織が連れてったって言っててな?」 「そ……う、なんだ……」 「どうしたん菊、大丈夫?」 ぎゅっと痛いくらい抱き締めてくる。心配そうな瞳は犬のようだ。 「ううん。燕織がいるから大丈夫」 安心させるように抱き締め返せば、頬にキスをしてこようとする。 そして、ガラガラと音を立てて出現する影。手に何かを持っている……? 「……まー見せつけてくれちゃうわね~。しかし燕ちゃんいいキック持ってるじゃない。ちょっとお姉さん脳震盪起きたわ……あ、続けてくれていいのよ?」 2人して顔の温度が急上昇した。 科織の手にある物は紛れもなくデジタルカメラ。薄型タイプでフォルムが白く、白衣に隠してしまえばまずばれないだろう存在感の薄さ。 なんかもうやだぁ……
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