第1章の続き

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 思わず苦笑した。  千里の頭の中は、産むか堕ろすかどころか、既にその先の子育てのことを考えているのだ。  今、自分が何のために生きているのか――。  たまに考えても答えは出た試しがなかった。  将来の夢――。  そんなものはとっくに消え去っていた。  ならば――。  出来てしまった自分の分身の為に生きてもいいのかも知れない。  一生、千里を愛することが出来るのか――。  正直、それには自信がない。  現に今、俺の頭の中には小林の姿がチラついて仕方ない。  しかし、自分の分身に対してはまた別だろう。  生涯、切っても切れない縁で繋がって生まれてくるのだ。  「今はちょっとタイミング悪りいんだ。客に因縁付けられちまって立場が悪い。ほとぼりが冷めたら頼んでみるわ」  出産を肯定した俺の言葉に、千里は嬉しそうな顔を見せた。  「ふーん。でもあんまりのんびりもしてられないんだよ。予定日は来年の1月24日なんだからね」
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