初めての夜

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「綾子・・・お前が欲しいよ」 彼は私を見上げると、優しく髪を撫でた。 「和馬・・・狡い男」 私は彼を見下ろし頬を抓る。 「そうだ、俺は狡い男。綾子が俺を欲情させるからだ」 彼は私に抓られたままククッと喉を鳴らす。 彼の言葉に私の胸はドキドキと早鐘を打ち鳴らし、私を欲する彼の瞳に吸い込まれそうになる・・・。 狡い男・・・最低な男・・・そして、自分の欲望に逆らえない馬鹿な女。 彼は、私の首に手を回すとそのまま顔を引き寄せた。 唇が触れそうになり、私はそっと目を閉じる。 すると、突然彼が体を捻り、私を押し倒した。  不意を突かれ、のし掛かる彼の重みに驚く私。 それを見て、和馬はニヤリと笑う。 「そう言えば、さっき俺に仕返しするとか言ってたよな?俺を弄るなんて百年早い。いい声で鳴くまでお仕置きしなきゃな」 和馬は、眼鏡を外しそれをベッドの隅に置くと、再び頬を撫でる。 次の瞬間、ドクドクと脈打つ鼓動を抑える術も無く、息が出来ないような深い口づけを受けていた。 唾液が絡み合う水音。 舌を絡め続ける熱さに息苦しさを感じ、私は思わず唇を放した。 しかし、それは許されず直ぐに舌で口を塞がれた。
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