654人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
「綾子・・・お前が欲しいよ」
彼は私を見上げると、優しく髪を撫でた。
「和馬・・・狡い男」
私は彼を見下ろし頬を抓る。
「そうだ、俺は狡い男。綾子が俺を欲情させるからだ」
彼は私に抓られたままククッと喉を鳴らす。
彼の言葉に私の胸はドキドキと早鐘を打ち鳴らし、私を欲する彼の瞳に吸い込まれそうになる・・・。
狡い男・・・最低な男・・・そして、自分の欲望に逆らえない馬鹿な女。
彼は、私の首に手を回すとそのまま顔を引き寄せた。
唇が触れそうになり、私はそっと目を閉じる。
すると、突然彼が体を捻り、私を押し倒した。
不意を突かれ、のし掛かる彼の重みに驚く私。
それを見て、和馬はニヤリと笑う。
「そう言えば、さっき俺に仕返しするとか言ってたよな?俺を弄るなんて百年早い。いい声で鳴くまでお仕置きしなきゃな」
和馬は、眼鏡を外しそれをベッドの隅に置くと、再び頬を撫でる。
次の瞬間、ドクドクと脈打つ鼓動を抑える術も無く、息が出来ないような深い口づけを受けていた。
唾液が絡み合う水音。
舌を絡め続ける熱さに息苦しさを感じ、私は思わず唇を放した。
しかし、それは許されず直ぐに舌で口を塞がれた。
最初のコメントを投稿しよう!