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『高校3年生ですか。一番楽しい時期ですね』 『え?』 チェックアウトぎりぎりの時間まで戯れたあと、私は男と外に出た。プールサイドで濡れた服もホテルの乾いた空気ですぐに色を取り戻していた。 「ブランチでも、どう?」 「そうね」 男は私の手を取り、繁華街へと向かう。指を組む繋ぎ方、付き合うと決めた訳でも無いのに、この男は恋人気取りだ。老舗デパートに入り、最上階にあるカフェに行く。屋上のテラス席でさんさんと降り注ぐ陽射しの中で食事を取る。さっきまでベッドでやらしいコトをしていた私を消毒するかのようだ。 「君、来週は空いてるの?」 「来週?」 来週はデートがある、以前の婚活パーティーで知り合った資産家の息子、地主ボンボン。
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