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「少しは甘えろ。小川は何処となく儚い」
「……」
「怖いんだ、俺が採用した人間がフラリと倒れたらと思うとな」
部長はそう言って空のグラスを上げ、店員に冷酒を追加した。結局はそうなのだ、部長は人事部時代に採用した社員が問題を起こすのが怖いのだ。私を心配するのは、つまり自分の身を案じてるだけなのだ。同期の受付嬢の勘違いも甚だしい。
「大丈夫です。問題は起こしません」
会社の男には手を付けない。会社でいざこざは面倒だし解雇されたくない。
「そう言い切るところがだな……」
「楢和部長にはご迷惑お掛けしませんので」
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