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ボンボンは、フレンチのコースを予約し、席は3階の窓側だ、と言った。ディナークルーズの乗船手続きをするのにボンボンが窓口に向かう。私は近くのソファに腰掛けてボンボンの背中を見る。仕立ての良いスーツ、オーダーメイドだろう。寸分の余りも無い。
突然、あのオリエンタルな香りが漂った。
「え……?」
ボンボンの背中を遮るように別の男が隣の受付に並んだ。スーツ、衿から覗くストライプのシャツ。
「セ……」
センセイだ。何故。
「……」
辺りを見回す。入口付近にスーツ姿の女性が一人で立っていた。恐らくセンセイの連れ。髪が長く綺麗な顔立ちをしていた。こないだホテル街を一緒に歩いていた女性だろう。彼女は手に製薬会社のロゴマークの入った紙袋を持っていた。
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