第2話【無料】

４

ディナークルーズを予約したと連絡があった。

「ちょっと……ごめんなさい」
「そう、残念」

そのボンボンとはまだ寝ていない。婚活パーティー当日、ボンボンは他の女を持ち帰った。別に構わない、多分一晩だけのお楽しみに選んだだけだろうから。私は一晩で捨てられるのは御免だ。ベッドだけが目的なのは嫌。

「また会えるよね？」
「ええ」

こういう駆け引きがいい。セックスをしたあとの駆け引き。よくヤる前に駆け引きする男女がいるけどつまらないと思う。男はヤりたいだけで女をチヤホヤする。女もそれを知ってて物をねだる。それは野暮の骨頂だ。寝たあとの男ほど素に晒されてるものはない。本当に私を欲しているのか分かるのはベッドを共にしてからだ。