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でも次の瞬間には破顔し、嬉しそうに笑った。
「煌騎のお口、大きいねぇっ☆」
「……そうか?」
「うん!大きいっ!!」
目を細めて屈託なく笑うチィは、何にも替え難く愛らしかった。
俺にとっての最高の癒しだ。
先ほどまでの疲れが一気に吹き飛ぶ。
「ちぇ~っ、また煌騎にチィ取られちゃったよ~」
「腐るな、虎汰。チィは初めから煌騎しか見てなかったじゃないか」
拗ねる虎汰に和之が慰めの言葉を掛けるが、それは逆効果だったようだ。
口を尖らせてヤレ最初にチィを見つけたのは自分だの、独り占めはズルいだの……。
尚もブーブーと文句を垂れる。
それを一喝したのは横に座る虎子だった。
「あんたは自分の唐揚げ定食でも大人しく食ってなっ!!チィの幸せ邪魔したら私が許さないよっ」
「は~い。あ~あ、もうちょっとチィに構いたかったのになぁ……」
「―――あぁっ!? 何か言った!?」
「い、いえ、何も言ってませんっ」
男顔負けの迫力で虎子が凄むと、虎汰は慌てて自分の飯に手をつけ始める。
どうやらこいつは相変わらず妹には弱いようだ。
普段は虎子に悪態ばかりつくが、こいつはこいつなりに妹のことを想っている。
その証拠にこうして虎子が正しいと思う事を言うと素直に従うのだ。
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