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虎汰が食べ始めたのを見届けた他の連中も、漸く自分のに箸をつける。
だがどれも一口分だけ手をつけた形跡があったのを見て、皆がチィに食わせたのだと容易に想像がついた。
だとすると結構な量を食ったことになる。
俺はチィの腹にそっと手を当てて膨らみ具合を確かめてみた。
「……チィ、食い過ぎだ」
案の定、チィの腹はパンパンになっていた。
これだけ膨れていればかなり苦しいハズだが……。
俺が食うのを止めさせると、チィは哀しそうな顔をして俯いてしまった。
もう今後こんな飯にはありつけないかもしれないと思い込んでいるのだろう。
「チィ、明日は何が食いたい?」
「………あし…た…?」
「あぁ、明日だけじゃない。明後日も明明後日もチィの好きなもの食わせてやる」
そう言うとチィが顔を上げてパアッと表情が明るくなった。
やはりこいつは食い溜めしようとしていたようだ。
でも明日も腹いっぱいに食えると知って安堵したのか、食べるのをピタリと止め、目を擦り始めた。
「……眠くなったか?」
お手拭きで顔や手を拭ってやりながら尋ねると、チィはコクンと頷く。
寝てろと自分の胸に頭を押し付けさせれば、チィは瞬く間に眠りに落ちていった。
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