最強伝説

4/42
前へ
/325ページ
次へ
. 仕方なく再度声を掛けようとしたら何故か世界が反転し、気がつけば煌騎に覆い被されていた。 「―――ちょっ…え、こ、煌騎っ!?」 「………俺の貴重な睡眠を妨げようとするとは、いい度胸じゃねーか」 見上げると煌騎の眼が完全に据わっている。 助けを求めるように虎汰の方を見れば、彼は面白いものでも見るように顔を綻ばせていた。 「―――こ、虎汰っ!?笑ってないで助けてっ!?」 「え、何で?後もう少しで起きるから…チィ、頑張って♪」 そう、天使の微笑みで返されて二の句が継げない。 その間にも煌騎は首筋に顔を埋め、何やらモソモソと動いている。 状況が上手く理解できなくてパニックに陥った私は結局、最後には情けなくもぴーっと泣き出してしまった。 「煌騎……怖い…よぉ……ふえーんっ」 「―――え……チ、チィ!?」 漸く完全に目が覚めたのであろう煌騎は、腕に抱く人物が私だと確認すると慌てて飛び起きた。 そして私の身体を抱き起こすと自分の膝の上に座らせ、ギュッと力強く抱き締める。 「ワルい、チィ。完璧、寝惚けてた。もうしないから……ホント悪かった」 「……もう…私の知ってる、煌騎…?」 首を傾げて確かめるように彼の顔を覗き込む。 さっきの煌騎は別人のようで本当に怖かった。 .
/325ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1036人が本棚に入れています
本棚に追加