最強伝説

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. 気落ちする彼を何とか宥めて部屋を出ると、ドア前で和之さんが出迎えてくれた。 でも彼の口許には微かに笑みが……。 途端に煌騎は不機嫌になる。 「やっと起きたようだな、お二人さん♪さっき虎汰に聞いたけどチィ、災難だったね」 「………るせー、俺はもう今後一切酒は飲まねーよ」 「そうして貰えると周りの者も助かる。さ、朝食の用意ができてるから隣に行こう♪」 爽やかにそう返すと和之さんは左隣の部屋に案内してくれる。 昨日は気付かなかった部屋だ。 食事の時は皆、一緒にそこで摂る事になっているらしい。 しかも料理を作っているのは和之さんだと聞かされ、私は密かに驚いてしまった。 「自分のを作るついでだよ。言っておくけど味の保証はしないからね?下にいる連中の分も作ってるから大味だし……」 何てコトないように言ってのける和之さんだけど、自分の分だけでも大変なのに大人数の食事を作るなんて、凄く重労働だと思う。 料理なんてした事がないけど手伝いくらいならできるかもしれないと、そう申し出てみたがあっさりと断られた。 「雑用は下の者にやらせてるから大丈夫だよ。でも、ありがとう♪その気遣いが嬉しいよ」 優しく笑んで頭を撫でられたが、断られたことに私はちょっとだけ落ち込んでしまう。 .
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