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何か勘違いをしたまま流星くんは私を連れて左隣の部屋へと入る。
後ろの二人も何も言わず続いて入ってきたので、そのまま彼に従った。
中はわりと狭く、奥にはこの部屋に不釣り合いなほど立派なシステムキッチンと6人掛けのダイニングテーブル、それ以外は他に何もない。
キッチンは和之さんの好みなのか使い勝手を重視した男らしい、けれど黒を基調としたオシャレな造りになっていた。
でもてっきり下の人たちと皆でワイワイ言いながら食べるのかと思っていた私は、少し拍子抜けしてしまう。
「他の面子は下の階で食ってるんだ。二階は決められた者しか上がって来れねーからな……」
立ち止まってポカンとしていると、思ってる事が顔に出ていたのか横に立つ流星くんがそう教えてくれた。
それに相槌を打ちながら再び室内を見回すと、既に席に着いて朝食を摂っていた朔夜さんと目が合う。
彼は食事の時もPCを手離さないようで、コーヒーを優雅に飲みながらカタカタと片手で操作していた。
「おはよ、チィ。例の洗礼さっそく受けたんだって?」
朔夜さんの何気ない一言に私の肩がピクリと揺れる。
怖くて振り向けないが次の瞬間、背後から人も殺せそうなほどの殺気がビシビシと伝わってきた。
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