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何とか場を収められたと安心していると、横に立つ和之さんが感心したように呟いた。
「スゴいな、チィ。キミがいればチーム内のケンカが随分と減りそうだ♪」
「ホント、大した女だぜ。俺は機嫌の悪ぃ煌騎の前にはぜってー立てねーよ……」
「……ん?アレ、もしかして俺、今チィに助けられたっ!?」
流星くんも感嘆の声を漏らす中、漸く事態を把握したのか虎汰が青褪める。
気付くの遅せーよと周りの皆が笑って彼を小突いた。
それでケンカはおしまい。
和之さんは朝食を用意するから座って待っててと言い残し、キッチンへと姿を消した。
流星くんはしつこく虎汰の頭を小突きながらも、自分たちの指定の席に着く。
それを呆然と見守っていると、朔夜さんが億劫ながらも人差し指で空いている席を教えてくれた。
聞けば私の為に今朝、ワザワザ席替えをしてくれたらしい。
そこは煌騎の隣りで、和之さんの隣りでもあった。
現在の白鷲ツートップが両隣と聞いて私は焦ったが、煌騎の意向なので変更は不可とのこと……。
その煌騎も先に席に着いて“隣りにおいで”と手招きしているので、恐縮しつつもそこへ腰を落ち着けた。
ほどなくして和之さんが朝食を運んできて自らも席に着く。
「チィのお口に合えばいいんだけど……」
謙遜しながらも私の前に出された食事は、朝から作るには手間の掛かるものばかりだった。
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