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ふわふわトロトロのオムレツとカリカリに焼いたベーコン、それに食べ易いよう斜めにカットされた熱々のフレンチトーストは寝起きでまだ頭が働かないというのに食欲をそそられ、お腹がグウゥ~ッと鳴った。
その横には付け合わせに琥珀色のスープと、カラフルな野菜が乗ったサラダも添えられてあって、どれから手をつけていいのかわからない。
「フフ、チィがまたどれから食べるか迷ってる」
揶揄するように虎汰が言うと、和之さんが目を丸くして私を見る。
でも直ぐに微笑んで頭を撫でた。
「チィは食べ方を知らないだけだよ。よく噛んで、バランス良く食べてごらん?」
そう言うとまるでお手本というように彼が食べ始め、習って私もフォークとナイフを握り締める。
時々こちらを窺ってはニッコリ笑って和之さんは頷いてくれた。
それでやっと私は食事の取り方というものがわかったのだった。
「へぇ、さすがだな……」
滞りなく食事ができるようになった私を見て、皆は感心したように息を漏らす。
昨夜は殆どお箸も使わず、素手に近い状態で食事を摂っていたのだ。
驚いて当然だろう。
煌騎が褒めるように頭を撫でてくれて私は嬉しくなった。
食事も飛び上がるほど美味しい。
中でもふわトロのオムレツが気に入り、大事にチビチビ食べていると苦笑した和之さんが私のプレートにソレを追加してくれた。
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